復興事業の総括

石巻市(図の出典:石巻市HP「東日本大震災からの復興 -最大の被災都市から世界の復興モデル都市石巻を目指して-」)によれば、復旧・復興にかかる主な事業費の総額は約1兆2,273億円(復旧・復興事業費調査(令和2年3月実施)に基づくもの)を予定しています。震災前(平成23年度)の石巻市の一般会計歳出予算は617.5億円であり、これは市の一般会計予算のおよそ20年分に相当します。

これまでの約10年間、石巻の物質的な復旧・復興は、いまだ途上ではあるものの、橋りょうや下水道などの一部を除き、かなり進捗して参りました。

また、生業の再生、心のケア、防潮堤・河川堤防・避難道などの整備、高盛土道路・防災緑地の整備、建物の高台移転、総合防災訓練・災害教育、震災で得た教訓の後世への伝承、新たな時代に向けた都市計画など、様々な取組も進んで参りました。復旧復興事業の完成に向けて、市民の皆様の意見にしっかりと耳を傾けながら、市一丸となって取り組んで参ります。

 

石巻のこれからについて

震災で受けたダメージは建物などの物質的なものだけではありません。多くの市民の方々が、深い悲しみと心の傷を負っています。これらは時間が経過しても簡単に治るものではなく、無意識の心の奥底に留まっています。また、震災を機に、地域コミュニティの崩壊は進行し、孤独死や自殺など、深刻な問題も抱えています。

 

これからは、楽しい事をもっと増やしていき、皆さんが心豊かな毎日を送れるような場が求められています。石巻市民の皆さんが心に受けた傷、この心の復興が大切なテーマとなってくると思います。震災後、壊滅的なダメージを受けた集落などでは、コミュニティの崩壊が進行しました。こうした方々の心の復興のためにも、地域コミュニティ活動を充実することで人々の交流を活発にすること、イベントやお祭り・芸術や文化の振興・趣味のサークル活動などで皆さんの楽しいことを増やしていくことが、本当に重要だと考えています。


領域

方策

目指したいあり姿



復興事業の物質的な完成から心の復興へ

・復興事業の物質的な完成を加速

・活気あふれるコミュニティの充実

・豊かな地域経済の育成

・子供たちの心を豊かに育む

物質的な復興のみならず、一人一人が震災の苦しみから本当の意味で救済され、心の復興と自己実現をが達成できる社会を目指します。


活気あふれるコミュニティの充実

・リターンズ、リモートワーカーの移住支援

・サークル活動や集会、お祭り、イベント等を通じて人々の交流を促進

・「関係人口」の創出と人口減少対策

・芸術、文化の振興とコミュニティ活動の充実

社会において、自分自身に価値ある存在だと思える自意識を、全ての人が持てることが、最も重要です。共同体(コミュニティ)のつながり、世代間や地域間の交流を活性化し、全ての人に対する社会的包摂を達成してまいります。


豊かな地域経済の育成

・豊かな自然や食事、文化を堪能できるための観光地形成

・美しい景観、魅力あふれる産品と全世界に発信し、「石巻ブランド」の確立

・社会課題に取り組むスタートアップ企業誘致による新規事業の導入

・国及び県による支援も仰ぎながら積極的投資

『石巻』のブランド化を推進し、全世界から多くの人が訪れ、誰もが住みたい街を目指します。人口減少に歯止めをかけ、雇用を創出し、力強い地域経済を推進してまいります。


子供たちの心を豊かに育む

・子育て環境(遊び場、子育支援、医療)の充実

・「非認知的スキル」を育成する、多様な「学び」の時間を創出

・子供食堂や学童保育など、家庭と学校以外の居場所形り

・伝統芸能、文化・お祭りで郷土愛を育成

子供たちは社会の未来です。これからを生きる子供たちのために、単なる知識・技術のみではなく、AIやロボットに代替されないような力を育成できる社会を目指します。